今年もいろいろありましたね
本年、最後の更新です。今年はいろいろありました。テレビでは「97年を振り返る」という特集を組んでいますし、パソコン雑誌でも「パソコン・インターネット激動の97年を振り返る」なんてありそうですね。そこで、誰も総括しない我がNewton について、「激流にのみこまれた1年 - 97年のNetwon 環境を振り返る」と題しまして、この1年の総括レポートをお送りしましょう。
Newton 最近の動きでは、Newton を取り巻く環境の動向をレポートしていますのでご参照下さい。
・苦境のApple、Steve Jobs 復帰
1996年12月、Apple Computer がNeXT を買収するというパーソナルコンピュータ史に残る空前の規模のニュースが報じられ、関係者(Appleの社員もだね)、マスコミ、ユーザの「Apple / MacOS の将来はどうなるのか?」という関心とともに1997年はスタートした。Copland の崩壊のみならず、Apple Computer の財務状況は最悪。NeXT 買収によりRhapsody (OpenStep) を手に入れたApple は、同社の開発したたくさんの技術、プロダクトを整理した。Open Doc(どうも、冴えなかったね)をはじめとする技術は売却、メンテナンスモード、終結されることとなった。前CEOアメリオが更迭されて以降、やる気のみられなかったSteve Jobs が完全復帰。Apple のビジネスをまさにリスタートしていくこととなる。
・Newton MessagePad 2000 / eMate300 の発売
96年に発表されたMessagePad 2000 / eMate300 の発売がはじまった。従来の機種の拡張を行って新製品とすることが多かったMessagePad も抜本的に改良され、StrongARM 搭載のMessagePad 2000 は世界最速の「ハンド・ヘルド・コンピュータ」となり、「アイデアはともかく、動作がとろい」という初期Newton の印象を完全にうち破った。また、教育市場を対象に開発されたeMate300 の人気も高く、そのデザインは「最近Apple に失われていたもの」であり、市場ニーズは高まり、一般発売も行うべきだという声が高まりつつあった。
・Newton Inc の独立
「ひとつの会社で3つのOSを作るというのはうまくいかない」と語ったSteve Jobs はNewton の子会社化を決定。たくさんのApple 技術がリストラされるなか、Newton はなんとか生き残ることができた。5月には正式に子会社化を決定。7月には新しいビジネスプラン、ロゴ、オフィスをかまえ、Newton Inc は活動を開始した。
・高まるMessagePad 2000 日本語版発売への期待
MACWORLD EXPO '97 TOKYO でデモンストレーションされた「日本語環境バリバリのMessagePad 2000」は、国内ユーザの期待を一気に膨らました。ほぼ完成している日本語環境UniFEP、HWCR の遅延認識はスカスカ動作。NewtonShop は、なんともクールなこのマシンの先行予約まで行った。しかし、アップルコンピュータからの正式発表はなかった。「泳げる頃に」再びだ。Newton Inc. 独立のゴタゴタに巻き込まれて、開発中、開発中と繰り返された日本語版発売の発表は延期されてしまった。
・Newton Inc はApple 再統合
さて、教育市場で高い評価を受けたeMate300 のラインナップを拡張するため、Apple Computer はNewton Inc. を再び本社に統合することにした。再統合に関するApple の正式発表はなく、なんとなくだらだらと再統合されることとなる。モバイル市場は空前のブームとなり、WindowsCE、Pilotに大きく引き離された。このドタバタ劇はNewton の成長に悪影響を与えている。各社が先進的なデバイスを発表するなか、Newton はPDA 業界をリードしてきたアドバンテージを失った。97年の1年間、Newton の進化が鈍ったのは間違いない。
・怒濤のNewtonソフト発売
MessagePad 2000 の国内販売に焦点をあわせていたのだろうか?エヌフォーをはじめとする各社が怒濤のごとくNewtonプロダクトを発表。ショップのthe Newton Shop までがオリジナルソフトを続々と発表した。日本のNewton 市場は死ぬどころか、ますます勢いづくのであった。国内新製品MP130 が大幅に値下げされ、MessagePad 2000 の発売を予感させたが、これは予感だけだった。
・Newton MessagePad 2100 /NIE 2.0 の発表
StrongARM SA-1100 の搭載も噂されたMessagePad 2100 が発売。スペック的には問題であったメモリを増強しただけとなった。インターネット接続能力を高めるNIE 2.0 も同時にリリース(発表だけではない、モノが同時に手に入ったのだ)。
・eMate300日本語スペシャルセット発売
いっこうに発表されない国内版をまつユーザに緊張が走った。大穴の到来。eMate300 にエヌフォー開発の「にほんごメイト」を搭載したスペシャルセットが発表される。
・日本のNewton 環境は劇的に向上
97年は日本のNewton 環境の劇的向上の年だった。年末に行われたMacFan Expo in Kansai で、関西地区でもNewton がブレイク。まじめな話、Newton Shop の店長は「嬉しい悲鳴」をあげている。eMateスペシャルセットの影響で、Mac系雑誌をはじめ、たくさんの雑誌でNewton が紹介された。怒濤のごとく発表された市販ソフトに加え、ユーザの手によるソフトも充実。Newton専門誌NeWorldも創刊されたし、Newton SPIRITSの発売、ベストセラーになったNewtonではじめるプログラミングと書籍も充実してきた。
・98年、Newotn はどうなる?
さて、98年。Newton はどうなるのだろう?ま、そりゃわかりませんね。だって、96年の時点で激震が続いたAppleの97年のシナリオを誰が予想できただろう?ただ、Newton の環境は確実によくなっている。これは皮肉だがメーカーであるアップルがなんにもしていないのにだ。製品供給が正常に行われることは確かに重要なことだが、米国Apple の最も戦略的なプロダクトが日本で話題にあがらないのはなぜか?20th記念Mac なんて売ってる場合じゃないだろうに。98年はアップルの働きに期待したい。ユーザは良質だ。いい仕事をして欲しい。
1997年9月11日、Newton@-AtMark- はスタートしました。ちなみに最初のニュースは「Newton Inc. Appleへ再統合?」でした。そう、「MessagePadラインはなくなるのでは?」という噂があったころです。
Newton@-AtMark-のおかげで、アップルコンピュータの社長の原田氏をはじめ(これは冗談)、Newton を取り巻く様々な人と出会うことができました。また予想を大きく大きく上まわる数のメールをいただき、正直、「こりゃ、大変なことになっちゃった・・・。」と思ったものです。素晴らしい皆さんと出会えたことが私のこの1年の大きな収穫です。本当にありがとう。
さて、プレビューリリースを開始して以来、1日も休むことなく記事掲載を行ってきました。読者の皆さん、関係者の皆さんには、たくさんの励ましのお言葉をいただきました。「あまり、飛ばすと死んじゃうよ。」「ペースを落としてでも、長くやって欲しい。」というアドバイスもいただきました。私自身、「ペースを落とさなきゃ。」と思うのですが「Newton ネタで毎日更新できるのか?ほんとに??」という興味、「Newton に本気でコミットすると決めたんだ!」という強い気持ちもあって、がんばってきました。正直、これだけ本気でやらないと誰も見に来てくれなくなるし、これまた本気でNewton にコミットしている関係者に加わることができないと思っているのです。
この1年は仕事でもかなり忙しかったのですが、遅い帰宅後、ごにょごにょ更新記事を書き始める不出来な夫を応援してくれた妻にも感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう。
さて、Newton@-AtMark-主宰 杉山岳文、本日、MessagePad 2100 先行予約(旧MP2000先行予約)をお願いしてまいりました(笑)。来年もがんばりますので、みなさんよろしくお願い申し上げます。よいお正月をお過ごし下さいね。
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97.12.30 Tue 掲載記事
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